ピアノなし、残業なし。保育の本質に向き合える環境で笑顔を取り戻した
個別記録を書こうとして、ペンが止まる。「もしかして私、この子ときちんと向き合えていない…?」。そんな経験をした保育士さんも少なくないのではないでしょうか。今回登場する宇佐見若奈さんもその1人。時間に追われる毎日の中で、保育士としての自信を失いかけていた宇佐見さんは、「少人数制」と「働きやすさ」を軸に転職を決意します。はな保育に入社した後、家族から「笑顔が増えたね」と言われたという宇佐見さん。保育士が自分らしく輝ける環境の重要性が見えてきます。
最終更新日:2025.11.13
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宇佐見若奈(うさみわかな)
大学卒業後、こども園で1年勤務。大人数のクラス運営と多忙な業務の中で、子ども一人ひとりと向き合えないことに悩み、転職を決意。2021年6月にはな保育に入社し、現在は「はな保育室いちのみや駅西」で2歳児クラスを担当。「保育に集中できる環境」で、子どもたちの成長に日々寄り添っている。
目次
「この子のことが、分からない」。仕事に追われ、自信を失った1年目

――1年勤めた最初の園から、転職を決意した理由は何だったのでしょうか
新卒で入った園は、受け持ち人数の多い園でした。毎日、次の活動、次の活動…と時間に追われ、行事の準備や制作物の持ち帰り仕事も当たり前。忙しくても「子どもたちのために」と必死で頑張っていたのですが、そんな中で一番ショックだったのが、子どもの個別記録を書く時でした。いざ書こうとしても、「あの子、最近どうだったかな…」とペンが止まってしまうことが多かったんです。「私、これだけ一緒にいても、子どもたちをちゃんと見ることができていないんだ」と、自分の無力さを痛感しました。大学の実習で少人数保育の楽しさを知っていたこともあり、一人ひとりとじっくり向き合える環境の方が合っているのかもしれないと感じたのが、転職を考えた一番のきっかけです。
――転職活動では、どのような軸で園を探したのですか?
まずは「少人数制」であること。そして、前職の経験から、振替休日がきちんと取れる、持ち帰り仕事がない、残業代がちゃんと出る、といった「当たり前の働き方」ができることを重視しました。ピアノは弾けなければいけないものだと思っていたので、条件には入れていなかったのですが、はな保育のホームページで「ピアノなし」という文字を見つけた時は、「え、本当に!?」と衝撃を受けましたね。
「本当に定時で帰っていいんだ!」新環境に驚きの日々

――はな保育は「ピアノなし、残業なし」。最初は疑っていたと聞きました。
「こんなに良い条件が揃っているなんて、本当かな?」と、かなり疑っていました。でも、求人サイトにとても大きく、自信を持って書かれていたので、「信じてみようかな」と見学に行くことにしたんです。
見学では、本社の方から働き方について丁寧な説明を受けた後、実際に働いている先生からも直接お話を聞く機会がありました。そこで「本当に定時で帰れますよ」「ピアノも本当に弾きませんよ」と笑顔で言われて、「本当なんだ!」とびっくり。入社後、初めて早番勤務をした日、定時を過ぎても何となく帰れずにいたら、先輩に「宇佐見先生、早番だからもう帰りなよ」と声をかけられて。「当たり前に帰っていいんだ!」と、また衝撃を受けました。
――働き方が変わったことで、どんな変化がありましたか?
一番の変化は、母から「笑顔が増えたね、昔に戻ったみたい」と言われたことです。新卒の頃は、自分でも分かるくらい気持ちが沈んでいて、休日も遊びに行く気力すらありませんでした。家族にも心配をかけてしまったと思います。今は、仕事とプライベートの区切りがしっかりつけられるので、明らかに心に余裕が生まれました。その余裕が、保育の質にも繋がっていると実感しています。
子どもとの今を大切に。「待っててね」を言わない保育

――保育の内容について、はな保育の良さをどのように感じていますか?
保育の主役が「時間」や「行事」ではなく、「子ども」であることが素晴らしいと思います。子どもの「やりたい」という気持ちを最優先できることに、本当に喜びを感じています。
最近、子どもたちは、お散歩の途中の家にある家庭菜園のナスに夢中なんです。毎日「ナス、大きくなったかな?」と観察するのが日課で、そこでじっくり時間を取ります。園にあるボルダリングの壁に夢中な子もいます。
そういった子どもたちのブームに、とことん付き合ってあげられる。書類仕事も交代で勤務時間内に集中して終えられるので、保育中は100%子どもたちに意識を向けることができます。以前はペンが止まってしまっていた個別記録も、今は伝えたいことが多すぎて別の意味で困ってしまうほどです。
――今後の目標と、転職を考えている方へのメッセージをお願いします。
今の目標は、ペアを組んでいる先生のように、子どもたちに丁寧で分かりやすい言葉がけができるようになることです。忙しいと、つい「ちょっと待っててね」と言ってしまいがちですが、その言葉を使わずに、一人ひとりの「今」を大切に、気持ちを受け止められる保育士になりたいです。
かつての私のように、保育の楽しさを見失いかけている方がいたら、伝えたいです。子どもとじっくり向き合える環境は、ちゃんとあります。子どもたちの成長は本当に目覚ましく、毎日が新しい発見と喜びに満ちています。保育本来の楽しさを、はな保育でならきっと取り戻せるはずです。

まとめ
はな保育の「働きやすさ」は、単なる労働環境の改善だけでなく、保育士の心に余裕を生み、「保育の本質」に立ち返る時間を与えてくれます。保育士自身が心から喜びを感じながら向き合うことが、子どもたちの成長に繋がる。宇佐見さんが取り戻した笑顔が、その本質を何よりも雄弁に物語っています。




